11月19日付け中絶薬使用についての書類送検事案についてのプレスリリ

すぺーすアライズでは、次のとおりプレスリリースを発表しています。関連記事は下記の通りです。
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201011/2010111900784
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20101120k0000m040068000c.html
報道機関各位                             プレスリリース 
11月19日付け中絶薬使用についての書類送検事案について
                            
2010年11月19日
                     
                             〒272-0023 千葉県市川市南八幡4-5-20 エムワイビル5A
                             Tel.047-376-6556 Fax.047-320-3553
              NGO すぺーすアライズ (本リリースの問い合わせ先)
                事務局長 鈴 木 文
                 allies@crux.ocn.ne.jp

 
 報道によると、本日2010年11月19日に経口妊娠中絶薬を使用して人工妊娠中絶をした女性が、刑法堕胎罪に該当するとして、書類送検されたとのことです。この事案に対する当団体・すぺーすアライズの見解を下記の通りお伝えいたします。

1 女性が妊娠中絶をすることを処罰する堕胎罪の不当性
 妊娠の原因を作った男性を処罰せず、妊娠した女性のみを処罰する刑法堕胎罪については、女性に対する差別的法規であり、2009年8月の国連・女性差別撤廃委員会からも、堕胎罪を撤廃するよう勧告されています。
 もし、書類送検が真実であるならば、行政機関である警視庁が上記のような堕胎罪を適用したことについて遺憾の意を表します。
 ちなみに、このような刑法堕胎罪を撤廃するため、すぺーすアライズでは、堕胎罪撤廃の署名キャンペーンを実施中です。
http://dataizai-teppai.seesaa.net/
 
2 中絶薬(ミフェプリストンとミソプロストール)について
 中絶薬であるミフェプリストン及びミソプロストールについては、世界保健機関(WHO)における基本的薬剤として指定されており、また、少なくとも初期中絶における標準的方法として指定されており、ヨーロッパを中心にこの10年間で広く普及しています。
 厚生労働省はこのような中絶薬の危険性のみをいたずらに宣伝していますが、上記のように中絶薬の安全性は多国で証明されております。厚生労働省としてなすべきことは、このような中絶薬の使用を禁止することではなく、むしろ日本の中で中絶薬の安全な普及に努めることです。ミフェプリストンについては日本では未認可であり、ミソプロストールについては中絶での使用は、承認適応症外使用となっています。
 ちなみに、中絶薬については、標準的使用方法や使用可能時期を遵守する場合には危険性はきわめて低いものの、用法を遵守しない場合には危険が生じます。このような危険な使用方法は、厚生労働省が中絶薬について禁止をして中絶薬の使用方法についての正確な情報を提供しないことが原因の一つと考えられます。 

3 中絶についての費用、スティグマの見直しの必要性
 現在の日本の中絶方法は、女性に身体的・精神的・経済的負担を強いるものであり、ある種の中絶に対する社会的制裁ともなっているため、中絶薬の導入が必要です。
 中期中絶については、多くの医療機関では数十万の費用を要することになっており、経済的余裕がない女性にとっては捻出が困難なこともあります。究極的には中絶の無料化が必要ですが、中絶薬は中絶についての経済的負担を軽減するものになりますし、女性の身体的・精神的負担を軽減することにもなります。

 今回報道された事件が、堕胎罪の撤廃の妨げや、中絶薬の導入の妨げにならないことを望んでおります。

※ NGO すぺーすアライズは、あらゆる分野での女性の人権の実現するために国内、国際分野双方で活動するNGOです。