国連MDGs(ミレニアム開発目標)サミットの評価(プレスリリース)

プレスリリース 国連MDGsミレニアム開発目標)サミットの評価
                            
2010年9月23日
                     
                             〒272-0023 千葉県市川市南八幡4-5-20 エムワイビル5A
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              NGO すぺーすアライズ (本リリースの問い合わせ先)
                事務局長 鈴 木 文
                 allies@crux.ocn.ne.jp

 
 2010年9月20日から22日までの3日間、ニューヨークの国連本部にて、世界の貧困をなくすための国連MDGsミレニアム開発目標)サミットが開催され、各国首脳が会合に集結しました。当団体の評価は下記の通りです。

1 首脳会合での宣言について
 首脳会合での宣言には、先進国は2015年までにGNPの0.7%をODAとして拠出することが盛り込まれました。日本は2009年はGNI比0.18%に過ぎす、国際社会においてその責任を果たしていくためには、国際公約を果たすという政治的意思、財政の立直しの努力、世界の貧困削減について国民の理解を得る努力、国内における外国人差別や排外主義をなくす努力などをさらに重ねる必要があります。
 また、今回の首脳会合では、MDGsミレニアム開発目標)が実現可能な目標であることが確認されました。これと同時に、MDGsミレニアム開発目標)は、各国政府等の強い政治的意思と実現に向けた行動がなければ実現できないことが確認されました。日本も国際社会の一員として、MDGsミレニアム開発目標)の実現をより中心的な課題にすえる必要があります。

2 女性と子どもの健康の実現に向けたグローバル戦略(Global strategy for women's and children's health)について
 国連MDGsミレニアム開発目標)サミットでは、MDGsミレニアム開発目標)の中でもとりわけ実現が危ぶまれている女性と子どもの健康が重視され、女性と子どもの健康の実現に向けたグローバル戦略(Global strategy for women's and children's health)が発表されました。潘基文国連事務総長らが出席する中、各国や関係機関から1600万人以上の女性と子どもの命をすくうための努力として、400億ドルの拠出が誓約されました。この戦略では、最も弱い人たちに焦点を当てており、また家族計画が、望まない妊娠による大きな損失を防ぐために効果的な方法であることや、妊娠・出産だけでなく、家族計画や妊娠中絶も含む総合的なパッケージの必要性も確認されました。
http://www.who.int/pmnch/activities/jointactionplan/100922_commitments_v3.pdf
http://www.who.int/pmnch/topics/maternal/201009_globalstrategy_wch/en/print.html

3 「菅コミットメント」、新国際保健政策、教育協力新政策について
 国連MDGsミレニアム開発目標)サミットの開催期間中、菅内閣総理大臣によって「菅コミットメント」が発表されました。保健及び教育の分野で今後5年間で85億ドルの拠出を確約したことをまずは歓迎します。
 しかし、貧困問題に取り組む姿勢を示した民主党政権の提示としてはその金額があまりにも少なく意外でした。
 また、貧困の解決について、「人間の安全保障」という用語が政府によって用いられていますが、貧困から解放され生存が保障されることが「人権」「権利」という視点が位置づけられる必要があります。
 保健分野の発表では、「死」の削減に焦点を当てていますが、その狭さゆえ、膨大な数の障害や病気の発生への関心の薄さが危惧されます。
 また、女性の健康との関連では、1994年のカイロでの国際人口開発会議(ICPD)の行動計画で合意された、リプロダクティブ・ヘルス/ライツの考え方が軽視されていることも課題です。国際人口開発会議(ICPD)の行動計画も2015年が達成の期限ですが、妊産婦死亡という矮小化された目標のため、むしろ個人の健康と権利という発想に立った家族計画などが軽視されています。そのため、若者の女性たちが犠牲になり、将来の可能性が奪われていくことが大きく危惧されます。  
 「菅コミットメント」と同様、国連MDGsサミットで発表された日本の開発援助政策については下記外務省のホームページからご覧になれます。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/doukou/mdgs/shinseisaku.html
MDGs実現のためにはICPDの実施が不可欠であることについては、2004年の世界各国の国会議員による、ストラスブール宣言に詳細に記載されています。前文は下記の国連人口基金のサイトからご覧になれます。
http://www.unfpa.org/webdav/site/global/shared/parliamentarians/docs/comm_jap.doc

※ NGO すぺーすアライズは、あらゆる分野での女性の人権の実現するために国内、国際分野双方で活動するNGOです。また、女性と子どもの健康の実現に向けたグローバル戦略に賛同をしています。http://www12.ocn.ne.jp/~allies/space/index.html

※ NGO すぺーすアライズ以外のNGOからの、MDGsサミット関連のプレスリリースは「動く→動かす」の下記アドレスからご覧になれます。
http://www.ugokuugokasu.jp/sp_100920.html
 すぺーすアライズは、「動く→動かす」の会員NGOです。
http://www.ugokuugokasu.jp/about.html