ムスコカG8サミット 人工妊娠中絶について沈黙したG8に落胆

 2010年6月27日
関係者 各位
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                   すぺーすアライズ  室長    麻 鳥 澄 江                   
                           事務局長     鈴 木 ふ み

カナダ・ムスコカG8サミットについてのプレス・リリース
人工妊娠中絶について沈黙したG8に落胆

  今年、6月25日からカナダ・ムスコカで、G8サミット先進国首脳会議が開催されました。
 世界の貧困削減目標であるミレニアム開発目標MDGs)の中でも、進捗が遅れている母子保健、妊産婦の健康や子どもの死亡率の削減について積極的な取り組みがなされるとのことであり、多くの女性団体からこの点について注目が集まっていました。
 世界の中では、妊娠・出産を原因として1分に1人の女性がなくなっています。特に途上国では、安全で合法な中絶による女性の死亡は減少してきましたが、安全でない中絶による女性たちの犠牲はこの数十年間ほとんど改善がありません。毎年、7万人の女性が安全でない中絶の合併症で亡くなっており、500万人が入院し、300万人以上が治療さえ受けられていません。
 このような現状を変えるために世界中の女性団体が、カナダ政府に対して、安全な中絶の実現について明記してG8諸国が率先して取り組むように申し入れをしていましたが、カナダ政府はこれを拒否してきました。そして、今回のG8サミットで発表された、首脳宣言やムスコカ・イニシアティブでは、家族計画については言及があるものの、人工妊娠中絶には言及がありませんでした。首脳宣言やムスコカ・イニシアティブの中での母子保健の対策に含まれると解釈することもできますが、そもそもG8で発表された母子保健対策の資金として宣言された金額は、ミレニアム開発目標MDGs)の妊産婦の健康と子どもの死亡率の削減のために必要とされる金額の1割程度に過ぎません。さらに、G8が宣言した資金は、既存の拠出資金の振替により実現したとの口実の余地を残す文言となっています。となると、母子保健の実現のために不可欠な女性の地位の向上や女性の権利の保護のために割り当てられる資金が削減される恐れさえあります。
 私たちは、G8の加盟国である日本政府には、政府開発援助の総量の拡大とともに、途上国の女性の健康と人権にさらに多くの資金を振り向けること、そして国内はもちろん途上国での安全な人工妊娠中絶の課題に積極的に取り組むこと、さらには人工妊娠中絶の課題について世界の貧困削減目標であるMDGに盛り込むための努力をするよう求めます。

私ども、「すぺーすアライズ」は女性の人権と健康の実現を目指す国際NGOです。http://www12.ocn.ne.jp/~allies/