刑法堕胎罪撤廃に関する政党公開アンケートのご報告

     2010年6月23日
関係者 各位
     〒272-0023
                   千葉県市川市南八幡4-5-20 エムワイビル5A
                  Tel.047-376-6556 Fax.047-320-3553 allies@crux.ocn.ne.jp
                   すぺーすアライズ  室長    麻 鳥 澄 江                   
                           事務局長     鈴 木 ふ み

刑法堕胎罪(ただし不同意堕胎罪を除く)撤廃に関する
政党公開アンケートのご報告

 前略。
私ども、「すぺーすアライズ」は女性の人権と健康の実現を目指す国際NGOです。昨年2009年7月の国連女性差別撤委員会における第6次日本レポート審議にむけNGOレポートを提出し、ニューヨークでの審議に先立ち同委員に対してさまざまな情報提供をいたしました。
その審議の結果、同委員会は、『女性と健康に関する委員会の一般勧告第24号や「北京宣言及び行動綱領」に沿って、人工妊娠中絶を受ける女性に罰則を科す規定を削除するため、可能であれば人工妊娠中絶を犯罪とする法令を改正するよう締約国に勧告する。』との最終見解を発表しました。日本は、1985年に女性差別撤廃条約を批准していますが、その第2条(g)では、締約国の義務として「女子に対する差別となる自国のすべての刑罰規定を廃止すること」を規定しています。
日本の刑法には、堕胎罪が規定されており、そのうち212条から214条までは妊娠した女性の意思に基づく人工妊娠中絶について、中絶した女性本人やその施術者を処罰する規定が存在しており、女性差別撤廃条約批准以降も具体的な見直しの動きをうかがい知ることができません。
妊娠の原因となる性交渉は男女の責任ある判断によるものであるはずであり、この妊娠を終わらせる人工妊娠中絶について妊娠した女性のみを処罰する規定を維持することは女性に対する差別的刑罰法規であり、女性の健康について必要な医療へのアクセスを妨げるものです。
なお、少子化対策の観点から堕胎罪の存続が必要と考える人もいるようですが、人工妊娠中絶について女性のみを処罰することは、女性差別であり、人権侵害であることはもちろんのこと、少子化対策としての効果も期待できません。必要なことは、望まない妊娠を防ぐための性教育や避妊具の提供、女性に対する暴力の根絶、女性の貧困解消をはじめとする女性のエンパワーメントのはずです。
既に国際社会は、各国政府に女性のみを処罰する刑罰法規を撤廃すべきことを求めており、日本政府に対しても上記の通り刑法堕胎罪(ただし不同意堕胎罪を除く)撤廃を求める勧告が出されており、その実行は、政府の「政治的意思」にかかっております。
そこで、すぺーすアライズでは、来る参議院議員選挙に先立ち、各政党に対し、刑法堕胎罪撤廃に関し、政党公開アンケートを実施することにいたしました。
各党からの回答の結果をまとめましたので、報告いたします。下記サイトから政党公開アンケートの結果をご覧になることができます。アドレスは下記の通りです。
http://www12.ocn.ne.jp/~allies/space/anke-to/index.html
http://www12.ocn.ne.jp/~allies/space/anke-to/kekka.html
今回のアンケートには、多くの政党から回答をいただくことができました。これまで、選挙において女性差別や刑法・堕胎罪に関する議論がされることはありませんでしたが、今回の参院選に向けて女性差別の解消や刑法・堕胎罪の撤廃に関する市民の関心が高まり議論が活発化すること、そして多くの市民がこれらの課題に取り組むことを望んでいると各党に認識してもらうことを期待します。