「軍事基地と女性」ネットワークからの「広島事件声明・公開質問状に対する賛同」の要請を紹介します。



 昨秋広島市で発生した米軍岩国基地所属海兵隊員による集団強かん事件について、「軍事基地と女性」ネットワークが、3月8日、声明を発表し、合わせて広島県警広島地検宛に公開質問状を提出することとしました。同ネットワークでは、この声明ならびに公開質問状(下を参照)について、多くの皆さん(個人・団体)の賛同を求めています。ご賛同いただける方は、以下の要領で、電子メールを以下のアドレスまで送信してください。第一次集約日は、3月15日です。





送信先アドレス;iwakuni@againstgfb.sakura.ne.jp

要領;以下2点を上記アドレスに送信してください。メールの件名は「広島事件声明・公開質問状に対する賛同」としてくださるととても助かります。なお、いただいたお名前は、広島県警・検察に提出しますが、マスメディアやインターネット上での公開はいたしません(「氏名の公表」とは、そういう意味です)。

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1.氏名あるいは団体名;

2.氏名公表の可否;
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締め切り(第一次集約);3月15日

米軍岩国基地所属海兵隊員集団レイプ事件に対する声明

 私たちは、昨秋広島市で発生した米軍岩国基地所属海兵隊員集団レイプ事件に関し
て、去る2月14日米軍岩国基地において軍法会議のための予備審問が開かれたとの新
聞報道に接しました。

 2月15日の報道によれば、被害者は予備審問の場で証人尋問を受け、時折涙を流し
声を震わせながら「4人に暴行された」と訴えたとのこと。1人と性行為をすることに
は同意したが「途中で他の3人が車に入ってきて4人に暴行された」、広島県警の調べ
に当初一人と合意があったことを話さなかったのは「軽率な行為をしたことが恥ずか
しかった」からだったと話したとのことです。

 このような報道に接した私たちは、集団レイプという米兵の凶悪犯罪が日本の法廷
において裁かれないままであることを断じて許容することができません。私たちは、
昨秋広島県地方検察庁において決定された不起訴処分の取り消しを要求し、捜査の再
開、日本の法廷において加害米兵を裁くことを強く訴えます。

1、海兵隊員による集団レイプ事件発生以降の経過

私たちは昨秋この事件の最初の報道以後、広島県知事による不当に被害者を貶める
発言をはじめ、広島県警が米兵に対する強制捜査を行わないこと、広島地検がこの事
件を不起訴処分としたことに対して、強く抗議を表明してきました。11月初めに「軍
事基地と女性」ネットワークが出した抗議声明には、北海道から沖縄まで、またフィ
リピンや韓国など海外からも、400を超える個人と団体が賛同を寄せています。

 ところが広島県知事は何らの謝罪表明も行わず、容疑者に対する強制捜査はついに
行われないまま、広島地検は11月19日、不起訴を決定しました。新聞には県警と地検
が「被害者の供述が曖昧」であり「事柄の性質上、詳しいことは言えない」としてい
ること、また、米兵側は「合意の上」であったと強弁していることのみが報道されま
した。

 私たちは、不起訴処分の決定に重大な疑問と懸念を表明し、広島地検および広島県
警に対し、不起訴処分取り消しと市民に対する説明責任を果たすよう要求しました
が、今日に至るまで何の応答もありません。

 集団レイプは親告罪の適用されない凶悪犯罪であり、被害者は被害を届け出ていま
す。にもかかわらず、強制捜査も起訴も行われることなく事件がうやむやになったこ
とは異様な展開と言う他ありません。県警・地検からわずかに流される情報は、被害
者本人が不起訴を望んでいるかのような憶測や錯覚を導きかねないものであったと言
わねばなりません。警察や検察の発表の仕方は、あたかも被害者のプライバシー保護
のために事実を秘匿しているかのような印象をも与えました。マスメディアを通して
しか事件を知る手だてのない市民の中には、この犯罪と不起訴処分に憤りを覚えなが
ら、セカンドレイプにさらされることを怖れた本人が被害届を出したことを悔やみ、
無かったこととして起訴や裁判や証言を回避したがっている可能性に思いを馳せた人
も少なくないでしょう。



2、私たちの憂慮

 しかし、2008年2月14日の予備審問に関する新聞報道を見れば、米兵による集団レ
イプが行われたことはあまりにも明白であり、被害者の供述には何ら曖昧な点があり
ません。被害者はこの犯罪を無かったことにしたがっているどころか、米軍基地内で
涙を流し声を震わせて被害を訴えているのです。この被害者自身の証言は、広島県警
広島地検によって行われた捜査の非合理性と不起訴処分の不当性を白日の下にさら
したのです。

 不起訴の理由とされた「被害者の証言の曖昧さ」とは何なのでしょうか。

 なるほど当初被害者は、広島県警に対して「一人と合意があったこと」を彼女は隠
そうとし、そのため供述が「曖昧」である印象を与えた要素はあったのかもしれませ
ん。しかし、集団レイプに遭遇し激しい心理的ダメージを受けている被害者が被害状
況を再現し説明するには計り知れない苦痛が伴うのであり、事情聴取には安心と安全
を保証する保護と支援の体制が不可欠であったはずです。ところが実際には保護と支
援どころか、事件が報道されるやいなや広島県知事が被害者側に落ち度があるかのよ
うな発言をするといった状況のなかで、彼女が心理的社会的にさらなるダメージを受
け、「軽率な行動」を責められることを過剰に怖れたのは十分理解できることです。

 県警が主張した被害者による供述の「曖昧」さとは、ただたんに集団レイプが発生
した経緯に関する部分的曖昧さにすぎません。集団レイプ自体を証拠不十分とするの
はあまりにも不当であると言わねばなりません。被害者が米兵1人とつきあう気持ち
があったということと、米兵4名がその気持ちを利用して集団でレイプすることとの
間の距離は絶大です。米兵4名の側は事件発生から今日にいたるまで、「合意があっ
た」と強弁し続けています。このような言い分が容認されるとしたら、「女性が4名
とセックスをすることを希望した」と認定されるか、あるいは、「1人の男性との
セックスを合意したということは、その仲間の男性たちとのセックスにも合意したこ
とだ」と認識されるか、どちらかの理由しかあり得ません。かようなレイピストの言
い分を容認することは、全女性を愚弄することであり、深刻な人権侵害に他なりませ
ん。

 予備審問と前後して、沖縄では女子中学生やフィリピン人女性が米兵の性暴力被害
に遭ったという事件が明るみに出ました。広島における米兵の集団レイプが不起訴と
なり彼らの言い分を認める形で落着してしまった事は、相次いで発生した沖縄の事件
に負の影響を与えたのではないかとの疑念を禁じ得ません。集団レイプという凶悪犯
罪に対してさえ、処罰どころか、日本の法廷に召喚されることもなければ、強制捜査
を受けることにさえならなかったという岩国海兵隊員の経験は、何にもまして在日米
兵たちの女性観や行動に悪影響を与えたのではないでしょうか。そして沖縄では中学
生被害者の告訴取り下げの一方、米兵の覚醒剤不法所持や飲酒運転、家宅侵入などの
容疑での逮捕が相次いでいます。「綱紀粛正」の約束が空文句にすぎないことを、米
兵たちは日々の行動で示しているのです。このような米兵の犯罪がいつまで繰り返さ
れるのでしょうか。

 米軍軍法会議の予備審問で広島における集団レイプ被害者の証言が行われ、今まで
国民に知らされていなかった新たな事実が公になった今、日本の警察・検察による捜
査が再開され、加害米兵は日本の法廷で裁かれるべきです。集団レイプ被害者の証言
によって事実が明るみに出されたにもかかわらず日本の捜査機関・司法機関が事件を
放置し続けることは、被害者本人の尊厳を傷つけ、社会正義を破壊し、全女性の人権
を脅かすものです。



 私たちは不起訴処分の取り消し・日本の法廷における厳正な裁判と加害米兵に対す
る処罰を強く要求し、日本政府・各省各機関、報道機関、平和と人権が尊重される社
会を希求するすべての団体と個人が被害者の正義を擁護し、不起訴処分の取り消しと
捜査の再開のために行動するよう訴えます。

  

        2008年3月8日 国際女性デーに寄せ


                                   
「軍事基地と女性」ネットワーク

                                運営委員

鶴田律子、中澤紀美子、永谷ゆき子、西村千津、方清子、藤目ゆき、森一女、柳本由
加子



■□

広島県警・地検への公開質問状



 私たちは去る2月14日に岩国米軍基地内で行われた米軍軍法会議の予備審問におい
て被害者が行った証言をふまえ、広島県警察本部・広島県地方検察庁が昨秋の捜査と
事件処理に関する説明責任を果たすことを要求します。

 予備審問における被害者の証言内容は、広島県広島地検が被害者の供述を「曖
昧」だと判断して容疑者への強制捜査を行わず、「証拠不十分」と判断して不起訴処
分とした理由に大きな疑問を投げかけるものです。

 広島県警広島地検は、任意捜査と不起訴処分で事件を処理した判断の根拠を公に
するべきです。

 以下の4項目を広島県警広島地検への公開質問とします。広島県警広島地検
速やかに回答して説明責任を果たし、不起訴処分を撤回し、捜査を再開するように求
めます。



公開質問



1.集団レイプという凶悪犯罪でありながら、容疑者米兵を逮捕して捜査を徹底させ
なかった理由を説明してください。

2.米軍軍法会議の予備審問で被害者本人が行った証言には何ら「曖昧」な点は認め
られません。昨秋、この被害者の供述を「曖昧」だと判断し、証拠が不十分であると
判断した理由を説明してください。

3.不起訴処分の報道と共に、新聞は「事案の性質上、詳しいことは言えない」との
検察官のコメントを掲載しています。「事案の性質」とは何を意味したのか説明して
ください。

4.性暴力被害者が受けた精神的社会的ダメージに配慮し、被害者を保護・支援する
ためにいかなる措置を講じたのか説明してください。

 以上4点につき、2008年3月31日までにご回答ください。

                   2008年3月8日

                     「軍事基地と女性」ネットワーク

                      連名者 署名